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【産経抄】「異説に耳をふさぐな」西部さんの教え 2月13日

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【産経抄】
「異説に耳をふさぐな」西部さんの教え 2月13日

 東日本大震災による東京電力福島第1原発事故から、約1年後のことだ。国連放射線影響科学委員会(UNSCEAR)の委員長が、事故に伴う健康被害は今後も考えにくい、と発言した。ロイター通信が伝えたものの、日本ではほとんど報道されなかった。

 ▼大切な情報が、「日本人のオツム」を通り過ぎていくのは、当時のメディアが放射能への恐怖に凝り固まっていたからだ。そう指摘したのは、先月「自裁死」した評論家の西部邁さんである。毎日新聞に寄せた論考で、「異説に耳をふさぐな」と警鐘を鳴らしていた。

 ▼同じような風潮は今も続いているようだ。昨年9月に日本学術会議から出た「子どもの放射線被ばくの影響と今後の課題」は、福島第1原発事故による胎児への影響を否定していた。東洋大学教授の坂村健さんが正論欄で紹介するまで、まったく知らなかった。坂村さんによると、愚直にデータを積み重ねた結果、「科学的には決着がついたと認識されている」とまで踏み込んでいる。

 ▼1キロ当たり、飲料水10ベクレル、一般食品100ベクレル。福島第1原発事故後に国が設けた、放射性セシウムの基準値である。米国ではすべての食品で1200ベクレルである。昨日の小紙の報道によると、国の放射線審議会は、この基準について議論する方針を固めた。ただし、基準の見直しが前提ではないという。

 ▼欧米に比べて厳しすぎる基準は、科学的根拠に基づいて見直すべきだ。以前からこんな意見が専門家から出ていた。もっとも過度な基準をクリアするからこそ、風評被害を抑えられる、との考え方もある。

 ▼西部さんは、異説に対して「『見ざる言わざる聞かざる』の三猿はやめよう」と呼びかけていた。活発な議論を期待したい。

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