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【明治の50冊】(5)三遊亭円朝「怪談牡丹燈籠」 「言文一致」文芸運動の象徴

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【明治の50冊】
(5)三遊亭円朝「怪談牡丹燈籠」 「言文一致」文芸運動の象徴

「怪談牡丹燈籠」の別製本の口絵。坪内逍遥が序文を寄せている 「怪談牡丹燈籠」の別製本の口絵。坪内逍遥が序文を寄せている

 『怪談牡丹燈籠(ぼたんどうろう)』は、近代落語の祖といわれる三遊亭円朝の代表作だ。焦がれ死にした美しい娘の幽霊が、駒下駄の音を響かせ、夜ごと恋人の元へと通う…。旗本の娘お露(つゆ)と浪人・萩原新三郎の悲恋の凄惨(せいさん)な結末は、歌舞伎化もされ、落語を離れた怪談として知る人も多いだろう。

 この噺(はなし)を円朝は23~24歳のころに創作した。刊行は明治17(1884)年。日本初の実用速記者と呼ばれる若林●(王へんに甘)蔵(かんぞう)らが、高座で演じられたままを筆記した速記本だった。

 劇作家の岡本綺堂は、円朝の「牡丹燈籠」の思い出を記している。13、14歳のとき、評判を知って速記本を近所の人から借りて読んだが、さほど怖いと思えない。高をくくって寄席に行くと、自分一人が古家で怪談を聴かされているような気になり、円朝の話術におびやかされて夜道を逃げるように帰ったという。

 落語家の柳家小満んさん(75)は、「足がないはずの幽霊に、カラン、コローンと音を出させるのはすごい工夫」と話す。お露新三郎の怪談は、全13編中の第3編に登場するエピソードだ。魔よけの札をはがして幽霊を手引きし、新三郎を死に追いやった伴蔵お峯夫妻の行く末、お露の父の旗本屋敷での不義密通事件と忠僕・孝助の敵討ち物語が、複雑に絡んで語り継がれていく。

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