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【書評】ノンフィクション作家・河合香織が読む『宿命の戦記 笹川陽平、ハンセン病制圧の記録』高山文彦著 「大金くれるなら、悪魔にだって頭下げる」

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【書評】
ノンフィクション作家・河合香織が読む『宿命の戦記 笹川陽平、ハンセン病制圧の記録』高山文彦著 「大金くれるなら、悪魔にだって頭下げる」

『宿命の戦記 笹川陽平、ハンセン病制圧の記録』高山文彦著 『宿命の戦記 笹川陽平、ハンセン病制圧の記録』高山文彦著

  ハンセン病根絶のために活動を続ける日本財団会長の笹川陽平氏。世界各地のハンセン病患者の施設を訪れ、無償でハンセン病の薬を届けてきた。WHOのハンセン病制圧予算のほとんどを日本財団が支出してきたという。金で人の命を助けられるなら、悪魔にでも頭を下げるとまで言うのだ。情熱の源泉は何なのか。

 本書は、著者が2010年から7年間にわたって、陽平氏のハンセン病制圧の旅に同行した記録である。アフリカの小国マラウイ共和国から、太平洋上の島々で構成され、東西の端から端へ行くのに1週間かかるというキリバス共和国まで20カ国に及んだ。

 HIV、マラリアなど深刻な病に悩まされている国も少なくない。なぜそれよりも数が少ないハンセン病に今も心血を注ぐのか。そんな問いに陽平氏は「父がうけた差別を晴らしてやりたい」と語る。右翼の大物と呼ばれ、「右手で汚れたテラ銭を集め左手で浄財として配る」と揶揄(やゆ)された父、笹川良一。ハンセン病は病気が治ったらおしまい、という病ではない。その後にも続く差別が待っている。彼が何よりも撤廃したいのは差別の心なのだろう。

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