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【アート 美】「小村雪岱」展 穏やかで繊細な感性

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【アート 美】
「小村雪岱」展 穏やかで繊細な感性

「お伝地獄」(『名作挿絵全集』挿絵原画) 昭和10(1935)年 紙、墨 埼玉県立近代美術館蔵 「お伝地獄」(『名作挿絵全集』挿絵原画) 昭和10(1935)年 紙、墨 埼玉県立近代美術館蔵

 どちらかといえば顔の表情は喜怒哀楽が乏しく、感情表現は控えめ。

 「私は個性のない表情のなかにかすかな情感を現したいのです。(中略)仏様や人形が泣いたり笑つたりするかすかな趣を浮かび出させたいのです」と雪岱はエッセーで書いている。

 穏やかな表情から秘めた心情がにじみ出る。

 雪岱は東京美術学校(現・東京芸大)で日本画の基礎を学んだが、卒業後はあまり画壇と関わることなく活動した。昭和8年に新聞連載された邦枝完二(1892~1956年)の時代小説『おせん』の挿絵は評判を呼び、挿絵画家として知られることに。この頃、「雪岱調」が完成したとみられている。展示作の「おせん 傘」は、連載時の挿絵原画を描き直した。傘を構成する線はフリーハンド、雨は定規を使っているという。繊細でデザイン性に優れモダン。傘の中からうりざね顔の女性の顔がちらりと見えるのも粋だ。

 清潔感があり、どんなものをモチーフにしてもさっぱりとしていて、どちらかといえば色気がない。挿絵原画の「お伝地獄」でも、女性の背中に入れ墨をしているゾクゾクする場面を淡泊に描写している。

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