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【書評倶楽部】演劇ジャーナリスト・永井多恵子 「京劇」だけじゃない、300種超える「戯曲」とは…『中国の伝統劇入門』

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演劇ジャーナリスト・永井多恵子 「京劇」だけじゃない、300種超える「戯曲」とは…『中国の伝統劇入門』

永井多恵子さん 永井多恵子さん

 昨年6月、中国・寧夏回族(ねいかかいぞく)自治区の首府・銀川で「国際伝統劇フォーラム」が開かれた。北京から2時間のフライト、イスラム教寺院が目に入る多民族地域だ。郊外には12世紀西夏の遺跡も見られる。かつては中国との交流といえば滞在費も日本持ちが当たり前だったが今回は自治区の招待ということで、遠隔地域への振興策も講じられているのだろう、習近平主席の一帯一路を感じる会議だった。

 著者はその「フォーラム」主催者の一人であり、本書では研究者として中国伝統劇の魅力を余すところなく紹介している。日本人には弾むような美しい動きの「京劇」がおなじみだろうが、「京劇」だけが伝統劇ではない。

 江南・蘇州で古くから伝承される「昆劇(こんげき)」は近年、日本でも知られるようになったがその背後に300種を超える「戯曲(しーちゅい)」といわれる伝統劇が中国には存在する。戯曲は、唱(チャン)、念(ニエン=せりふ)、しぐさ、立ち回り・舞いの4要素が一体となった総合芸術。楽器も地方により異なる。特に強烈なのは陝西省を中心に伝わる「秦腔(しんくう)」。一度その舞台を観たが、柏板をたたきつけて出す音は眠くなった観客の目をさまさせること間違いない。

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