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芥川賞に決まって 石井遊佳 汚れた川に「ありがとう」

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芥川賞に決まって 石井遊佳 汚れた川に「ありがとう」

芥川賞の受賞が決まり、産経新聞のインタビューに答える石井遊佳さん=1月、東京都新宿区 (海老沢類撮影) 芥川賞の受賞が決まり、産経新聞のインタビューに答える石井遊佳さん=1月、東京都新宿区 (海老沢類撮影)

 このたび芥川賞を受賞した「百年泥」の主人公と同じく、私もチェンナイに住み、毎日アダイヤール川にかかる橋を渡り、会社に通っている。誰も叱らないのをいいことに約3年、鋭意生煮え日本語教師を続行中だ。

 連日教案作りに追われてよれよれ、初級講座は4か月、肩で息をしながら生徒にむかいあう日々だ。

 インド人は数のおけいこが大好きで、好きな教科をきくと、男女問わずたいてい「数学」と答える。それを狙ってか、現在20代前半の生徒たちが中学生のころ、日本のそろばんがブームだったとのこと。どのクラスでも何人かは昔そろばんに通っていたというが、すぐ飽きられたようで、現在はカラテの広告を街でよく見かける。

 そういうわけで授業中、日本語の練習に計算をからませるともりあがる。例えば「3時間半は何秒ですか?」ときけば、俄然(がぜん)クラスがエキサイト、全員天井を見て懸命に考えてる様子、だが意外に計算は早くない。「インド人は数学の天才」などという神話に、私は懐疑的だ。

 さて、花も嵐も踏みこえて迎えた、ああクラス最終日、私は折り鶴と「指切り」を教えることに決めている。

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