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【編集者のおすすめ】介護する家族の苦しみ、ラスト1行に 『ファミリー・ライフ』アキール・シャルマ著、小野正嗣訳

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介護する家族の苦しみ、ラスト1行に 『ファミリー・ライフ』アキール・シャルマ著、小野正嗣訳

『ファミリー・ライフ』アキール・シャルマ著、小野正嗣訳 『ファミリー・ライフ』アキール・シャルマ著、小野正嗣訳

 「家族は○○しい」という文章を見たら、どんな言葉を連想するでしょうか。「楽しい」「騒がしい」なら結構ですが、それは時に「難しい」「苦しい」へと豹変(ひょうへん)します。典型的なのが介護問題。慈しみ助け合うはずの家族が重荷となり、介護する側の人生の歯車が狂わされていきます。

 本書の主人公アジェの一家は1979年にインドからアメリカに移住。物質的な豊かさに驚き、文化の違いに戸惑いながらも、兄ビルジュが超難関高校に合格したことで一家には輝かしい未来が待っているかに思われました。だが入学前の夏休みにプール事故で脳を損傷、自慢の秀才の兄は、発語も思考すらもできない状態となってしまいます。

 回復は困難。アジェ少年は祈ることぐらいしかできません。するとある日クラーク・ケント似の神様が現れて、君は将来有名になると予言します。自分で創り出した神様との対話に励まされながら、少年は重苦しい日々をやり過ごしますが、父はアルコールに溺れ、父母の諍(いさか)いは絶えず、家族は崩壊の危機を彷徨(さまよ)います。物語の終盤、少年は意外な能力を発揮して急激に成績を伸ばし、名門プリンストン大学に合格。卒業後は投資銀行の高給取りになります。

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