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【書評倶楽部】タレント・麻木久仁子 私たちは何を模索すべきか『ハンセン病療養所を生きる』有薗真代著

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タレント・麻木久仁子 私たちは何を模索すべきか『ハンセン病療養所を生きる』有薗真代著

女優の麻木久仁子さん(瀧誠四郎撮影) 女優の麻木久仁子さん(瀧誠四郎撮影)

 □『ハンセン病療養所を生きる 隔離壁を砦に』

 国立ハンセン病療養所・長島愛生園(岡山県)には「あおいとり楽団」という楽団があった。結成されたのは1953年。「法という名に値しない」らい予防法の改正をめぐり、壮絶な闘いが繰り広げられた年だった。

 隔離政策の不当性は明らかで、多くの入所者は闘争に参加していた。が、病などで視覚や四肢が不自由なため闘争に思うように参加できない。そんな無力感を抱えた人々が、目が見えなくても、手指が使えなくても演奏できる楽器、ハーモニカで「楽団をやろうじゃないか」と立ち上がったのだ。こうして始まった楽団は、やがて「終生隔離」の療養所の壁を超え、園外での演奏会を実現させる。

 著者はこうした文化的実践活動の他にも、園内で営まれた酒店などの生活実践活動や、当時、年金支給対象から外されていた人々の政治的実践活動に章をたて、「動くこと」「開くこと」のみを自由の原理とせず、「ひとつの場所から動けない(動かない)人々」の営みの中に「生を豊饒(ほうじょう)化」する実践を見いだし、描いている。

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