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古処誠二さん「いくさの底」 戦場ミステリーで描く普遍的心理

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古処誠二さん「いくさの底」 戦場ミステリーで描く普遍的心理

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 「戦争体験者の回想録には通説を否定するような証言も出てくる。新事実に興味をひかれ、面白いと思う。その連続です」と語るのは作家の古処(こどころ)誠二さん(47)。戦争という題材とミステリー的仕掛けが融合する長編『いくさの底』(KADOKAWA)は昨年、各誌の年間ミステリーランキングもにぎわした話題作だ。

 舞台は第二次大戦中期、日本軍占領下にあるビルマの山村。外敵の襲撃に備えて日本軍の警備隊が派遣されるが、駐屯初日の夜に隊長が何者かに殺される。犯人は敵? 村民? あるいは内部か-。語り手は隊に同行する民間人通訳だし激しい戦闘シーンもない。でも大きな謎と閉鎖空間に飛び交う疑心暗鬼の視線が相まって、物語は緊迫感を増す。

 「(最前線の)歩兵であっても実際の戦闘はごく一部。多くが平穏な期間で、現地住民と付き合い、笑ったりもする。置かれた状況で人がどう反応するか…書きながら固まってくる」

 事実よりも体面を重んじる軍組織の問題、自分の身の回りの平穏は何としても守ろうとする住民心理…。謎解きと並行し、そんな普遍的な人間の姿がつづられる。

 「例えば士官学校出の若いエリートが戦地で下の兵隊に『貴様』なんて言ったらすぐ嫌われる。だからエリートの側も兵隊に歩み寄る。結局は人と人の話。自分たちと同じだな、と当時の資料を読むほどに思う」

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