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【アート 美】「深沢幸雄」展 いつも人の心を見つめていた

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【アート 美】
「深沢幸雄」展 いつも人の心を見つめていた

「凍れる歩廊(ベーリング海峡)」1978年 「凍れる歩廊(ベーリング海峡)」1978年

 詩的でファンタスティック。深く人間を見つめ、見る者の想像力をかきたてる作品を深沢幸雄は生涯、制作し続けた。深沢をしのぶ「追悼 深沢幸雄-銅版画とガラス絵」展が多摩美術大学美術館(東京)で開催中だ。国際的に活躍し、戦後日本の版画界を牽引(けんいん)した創作の軌跡をたどることができる。

 初期から晩年までの代表作を一堂に展示している。生涯にわたり、深沢が人へ強い関心を抱き、人間とは何かを捉えようとしていた姿が見えてくる。

 例えば「凍れる歩廊(ベーリング海峡)」。人間の目を中央に配し、背後には星々とともに文字や記号のような壁画が刻まれている。かつてアジアからベーリング海峡を渡ってアメリカ大陸にたどり着いた人々への思いをはせた作品だ。

 昭和38年、深沢は銅版画を教えるためにメキシコを初めて訪れ、古代遺跡や村々を巡った。いにしえの文明に魅せられた深沢はその後、何度かその地を旅した。「凍れる歩廊」に描かれた図像は、深沢が現地で見た遺跡の壁画だろうか。鑑賞者を見つめる大きな目は、遙かな旅をしてきた人間の目なのか、あるいは神の目なのか。夢があり、ロマンをかきたてる。

 人類の歴史を題材にした壮大な作品がある一方、人間そのものに目を向けた作品もある。激しく体を揺り動かして歌うミュージシャンの熱い魂を情熱的に表現した「ロック」。腕組みしていかにも偉そうな「誇り高き男」。迷路そのものが顔となっているだまし絵のような「顔は迷路」。どれもがユーモアたっぷりで、ウイットに富む。

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