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【野中広務氏死去】言葉の武闘派、気配りの人

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【野中広務氏死去】
言葉の武闘派、気配りの人

平成13年6月、自民党総裁の小泉純一郎首相(手前)と野中広務氏。小泉氏から「抵抗勢力」として標的にされた=自民党本部 平成13年6月、自民党総裁の小泉純一郎首相(手前)と野中広務氏。小泉氏から「抵抗勢力」として標的にされた=自民党本部

 先の大戦の悲惨さが再び繰り返されることのないよう、いつも心を砕いていた。

 使用期限切れ後も米軍用地の暫定使用を認める駐留軍用地特別措置法の改正をめぐり、平成9年4月、衆院本会議の委員長報告でこんな発言をした。

 「国会の審議が大政翼賛会のようにならないよう、若い方々にお願いしたい」

 同法は、自民、旧新進両党などの賛成多数で衆院を通過した。戦中派としての矜持(きょうじ)がそうさせたのは疑いようがない。

 かつて周辺に、自身の政治原点を聞かれ、「京都の体験が血肉になっている」と話したという。旧園部町議、同町長、京都府議、副知事と地方政治の階段を一段ずつのぼった。特に、野党として革新系の蜷川虎三知事と全面対決した府議時代の教訓は小さくない。

 自著「私は闘う」(文芸春秋)でも、「野党経験は(略)、本当に役にたった」と認めており、実際、5年7月の衆院選で自民党が野党に転落すると府議時代の経験にものをいわせ存在感を発揮。党内外で認知を得た。

 その政治手法には、「大きな敵」に捨て身で切り込む迫力があり、同時に、自身の存在感を高めていくしたたかさものぞいた。何よりも、ここぞというタイミングを見計らい、「言葉の武器」で政敵を攻め立てるセンスは圧巻だった。政治的な戦闘性の高さを評され、「武闘派」「豪腕」「狙撃手」など物騒な代名詞をつけられた一方、社会的弱者への視線を絶えず持ち、「義理人情に厚い」「気配りの人」と慕われもした。

 これほどの人間像を周りに印象づけた政治家はそうおらず、だからこそ言うに尽くせぬ魅力を醸していた。(松本浩史)

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