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【自作再訪】石内都さん「Apartment」 建物が時間を食べてる 入れ替わり暮らしてきた住民らの気配、手垢や体臭…。

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【自作再訪】
石内都さん「Apartment」 建物が時間を食べてる 入れ替わり暮らしてきた住民らの気配、手垢や体臭…。

「Apartment #55」1977-78年(c)Ishiuchi Miyako 「Apartment #55」1977-78年(c)Ishiuchi Miyako

 「肌理(きめ)」。写真家、石内都さん(70)はこの言葉こそ、自らの創作のエッセンスと語る。人の存在と不在、時間や記憶を内包する写真表現で、写真界のノーベル賞とも呼ばれるハッセルブラッド国際写真賞を受賞するなど評価を不動のものにしてきた。思い出すのは、初期のモノクロームプリントの、黒々と粗い粒子の肌合いだ。若手の登竜門、木村伊兵衛賞に輝いた出世作「Apartment」はいかに生まれたのか。(聞き手 黒沢綾子)

                   

 デビュー作「絶唱、横須賀ストーリー」でもう写真はやめようと思ってた。基地の街を被写体に、そこで育った自分が抱えていたいらだちや不安などを全部、吐き出したと感じたから。でも初個展(昭和52年)の会場で写真界の重鎮、三木淳さんに「次、何やるの?」と聞かれて、ふと「アパートを撮ります」と言っちゃったんですよ。

 横浜から多摩美大に通っていた学生時代から、京浜急行の車窓の向こうにすごく気になる建物があって、まずはそこを訪ねた。横浜駅の程近く。昭和初期に同潤会が建てた「平沼アパート」。その数年後に壊されたんだけど、当時はまだ多くの入居者がいましたね。

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