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【書評】作家の生の声と姿が伝わる 『藤沢周平 遺された手帳』遠藤展子著

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【書評】
作家の生の声と姿が伝わる 『藤沢周平 遺された手帳』遠藤展子著

 もう一つは、先に書いたように意外な私生活が覗(のぞ)けることだ。映画も本も、私には意外だった。たとえば、映画は「ダーティハリー」を見にいくし、読書はマイケル・クライトン『アンドロメダ病原体』を読んだりする。

 なんだかうれしくなるのは、藤沢周平が書棚に飾ってある作家ではなく、まぎれもなく生きた作家であると伝わってくるからだ。

 直木賞を受賞することになる「暗殺の年輪」には自信がなく、そのとき書いていた「又蔵の火」のほうが出来がいいと思っていた、ということも意外だった。そういう藤沢周平の生の声、生の姿が、本書のあちこちから立ち上がってくる。そうだ、初期には現代小説を並行して書いていたというが、機会があればそれを読んでみたい。(文芸春秋・1500円+税)

 評・北上次郎(書評家)

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