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【山本一力の人生相談】「専業主婦」の立場が嫌…

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【山本一力の人生相談】
「専業主婦」の立場が嫌…

イラスト・千葉真 イラスト・千葉真

回答

 相談文面から、あなたの煮詰まり具合が察せられる。

 来月には古希のわたしが、長男を授かったのは43歳。

カミさんは27だった。

 子育ては夫婦ともに初。わたしは歳(とし)を重ねていたが、育児には未熟者である。

 子育てを教わる相手もおらず、未体験の連続だった。

 長男がこの秋で27、次男はすでに22となったいま。振り返れば夫婦揃(そろ)って楽天的だったのが、幸いだったと思う。

 手引きとした「育児の百科」(松田道雄著)の、愛情に満ちた、ゆるい記述にも大いに助けられた。

 「時間が解決してくれる」という松田先生の至言を、何度噛み締めたことか。

 たとえば夜泣き。

 時期がくれば夜泣きは止(や)むから待ちなさい、と。

 他と比べたりせず、こどもの育つに任せればいいとも、本書に教えてもらった。

 あなたにできることは山ほどある。ご主人が働く気力を養える巣を調えれば、ともに仕事をしているも同然だ。

 保育施設に入園できないのは、日本中の問題らしい。

 終日一緒にいられる間は他の子に保育園を譲り、社会貢献していると思えばいい。

 が、愛児とて、ときに気持ちが煮詰まることもあろう。

 そのときは束(つか)の間、育児の目先を変えればいい。

 居職のわたしは、元日も原稿を書いた。小説が煮詰まったときは、随筆に変えて煮詰まることから身を躱(かわ)した。

 原稿を書くのは同じでも、目先(原稿内容)を変えただけで、違う気分で仕事に向き直ることができた。

 時が解決してくれるのは、育児も仕事も、そして日々の生活も同じだ。

 いま働いている他人と比べて、思い詰めることなかれ。

 どんな草花とて、時季がくればタネは弾ける。

回答者

 山本一力 作家。69歳。平成9年、『蒼龍』でオール読物新人賞を受賞しデビュー。14年、『あかね空』で直木賞受賞。近著に『カズサビーチ』(新潮社)、『ジョン・マン順風編』(講談社)など。

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