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【文芸時評】1月号 早稲田大学教授・石原千秋 世界語である英語の現実

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【文芸時評】
1月号 早稲田大学教授・石原千秋 世界語である英語の現実

早稲田大学教授・石原千秋氏 早稲田大学教授・石原千秋氏

 「新潮」の「特別原稿」の東浩紀と水村美苗がいい。ゲンロンという会社を経営している東浩紀は、中小企業の経営者だった祖父の影響だという。しかし、自分と祖父とは何も共有してはいなかった、そういう関係を自分は「郵便的」と呼んだのだと。5歳の時に父を亡くし、2人の祖父を戦争中に亡くした僕には、「郵便」は永久に届かないかもしれない。水村美苗は、アメリカでは翻訳文学は出版される本全体の1%しかないが、その1%を読むのはまちがいなくリベラル層の「エリート」なので、自分の小説が英訳されるか否かは、彼らを意識せざるを得ない。それが実は「表現の自由」を窒息させているというのだ。それが世界語である英語の現実だと。トランプ大統領誕生の意味を文学の問題として語った秀抜なエッセーだ。

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