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【ゆうゆうLife】家族がいてもいなくても(528)

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【ゆうゆうLife】
家族がいてもいなくても(528)

 せっせせっせの10年間

 女ばかり6人でチームを組み、介護の現場で働く人たちのインタビューを続けている。

 現場で働く介護士さんたちの介護観、どんな思いで働いているのかしら?というのが始めた理由で、目標は100人。2年間、せっせ、せっせとインタビューを続けて、今年の秋には目標を達成した。

 それはもう、なかなかの世界だった。あらゆる業種から、あらゆる年齢の人が転職してきているし、最近は若い世代がどんどん起業し、大手企業も次々進出している。

 介護をする人も介護を受ける人も、実にさまざま。多様な人たちが奇跡のように出会う新しい場所が、日本中に続々生まれているという感じだ。

 でも、取材チームのメンバーそれぞれは、他にも仕事を持つダブルワーカー。なかなか大変そうだった。リーダーの私としては無理も言えず、はたから見ながらこの2年間、はらはら、ドキドキしていた。

 なにしろ、やればやるほど赤字になる仕事なのだ。

 そんな中で、辛抱強く取材を続けて、さすがにへろへろだろうなあ、もうやめなくちゃあ申し訳ないと思った。けれど、みんなに「どうする?」と聞いてみたら、「続けますよ~」という。

 そんなわけでまだ続いている。

 そう、継続は力なり。

 なにかをやり続けていると、「量が質へと変化し、見えなかったものが、ワッと見えてくる日がくるのよ」なんてことを、言い続けてきたけれど、40代、50代の彼女たちは働き盛り。まだまだ尽きぬパワーを秘めているようだけれど、一番年上の私は、一番先にあごを出してしまっている。

 思えばずいぶん昔に、ある媒体の連載コラムで、主婦の再就職体験を取材して書いていたことがある。

 その時に話を聞いて分かったのは、何事も10年、せっせせっせと続けていると、たいていはその道で自立できる力をつけるものだということだった。

 長期にわたった親の介護の合間に、せっせせっと帽子作りに励んでプロになったとか。自宅で自力で料理に打ち込み、10年でついに料理の先生になったとか。当時はそういう話が多かった。

 私も30歳から取材をして原稿を書くフリーライターを始め、10年でなんとか生活できるようになったな、と思う。

 持続を力にするには、2年ではまだまだ。せっせせっせは、まだまだ続くのかなあ、と思う。

 きっと、来年も。(ノンフィクション作家・久田恵)

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