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アントシアニンについて詳しく知る 岐阜薬科大・原英彰副学長に聞く

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アントシアニンについて詳しく知る 岐阜薬科大・原英彰副学長に聞く

 会社でパソコンを使い、電車の中や家ではスマートフォンを見る。現代人は仕事でも、プライベートでも目を酷使する生活を送っている。世の中には目の不調をケアするさまざまな商品が出回っており、近年は点眼薬だけでなく、蒸気が出るアイマスクも売られている。食べ物、栄養素にも関心が高まっており、果実などに含まれるアントシアニンが注目されている。

 アントシアニンは青紫色の天然色素。ポリフェノールの一種でブルーベリー、ブドウ及びナスの皮などに含まれている。植物は太陽光によってダメージを受けるのを防ぐため、色素を生成する。アントシアニンには、活性酸素(細胞や組織を酸化させて働きを悪くするもの)を抑制する抗酸化力があり、特にブルーベリーの野生種である北欧産ビルベリーは、一般的な栽培種のブルーベリーより多くのアントシアニンを蓄えている。北欧の白夜の時期は日照時間が長いため、紫外線などの有害な光線から実を守るためだと考えられている。

 北欧産のビルベリー(左)。右上は一般栽培種のブルーベリー、右下は北欧産ビルベリーの断面  北欧産のビルベリー(左)。右上は一般栽培種のブルーベリー、右下は北欧産ビルベリーの断面

 人間も強い紫外線を浴びると体や皮膚に影響が及び、目も当てはまる。目の場合、直接臓器に光があたるため、影響を受けやすい。エネルギーが強い光は、網膜に達すると活性酸素を生み、網膜の細胞にダメージを与える。パソコンやスマートフォンが発するブルーライトも同じように目にダメージを与えており、目の疲れ、かすみなどはその例といえるだろう。

 目にいいとされるアントシアニンは、長年にわたって各方面で研究が進められている。岐阜薬科大学の原英彰副学長(薬効解析学研究室教授)もその一人だ。これまでにマウスなどを通じてさまざまな実験を積み重ねてきた。

 岐阜薬科大学の原英彰副学長(薬効解析学研究室教授)  岐阜薬科大学の原英彰副学長(薬効解析学研究室教授)

 一例として、マウス由来の網膜視細胞を用い、ブルーライトを照射した実験がある。ビルベリーエキスやアントシアニンを添加した視細胞は、何も添加しない視細胞より、ブルーライトのダメージによる活性酸素の産生が抑制され、細胞ダメージも抑制された。(※)   

 「この実験では、視細胞に6時間、ブルーライトを当てたのですが、何も添加しない場合は、細胞の働きが約4割抑えられます。一方、ビルベリーエキスやアントシアニンを添加したものは約3割の低下でした。違いが少ないと思われるかもしれませんが、確実にダメージを抑制しています。ビルベリーエキスの添加濃度が高くなるにつれ、濃度依存的に保護効果を示しました」

 人間がアントシアニンを含むビルベリーエキスを一定期間摂取し続ける臨床試験も、日本の他の研究機関によって行われており、目の疲労感の軽減に効果があったといった報告もある。

 ヨーロッパではビルベリー由来アントシアニンを配合した点眼薬などが市販されている。日本でもアントシアニンは注目されているが、原教授は慎重に言葉を選ぶ。

 「人間の目の不調には、いろいろなファクターや原因があります。筋肉の疲れ、ドライアイ、あるいは老化もあります。目は脳の一部とも言われ、精神的な疲れも目にあらわれます。アントシアニンの人の臨床試験はすでにいろいろとありますが、医薬品のような評価方法ではありません。摂取後に目が楽になることはあるでしょうが、そこには主観が入りますし、個人差もあります」

 一方で動物を使った実験では、目へのダメージを軽減する効果が確認されているのは事実だ。

 「動物実験レベルでは有効性が実証されています。人の試験も、限られた条件ですが、効果が認められたとの報告もあります。人に効くと明確には言えませんが、総合的に見てポテンシャルはある、効果を期待できるのではないか、と言うことができます。研究者という立場から、慎重にお話をさせていただきました」

 水槽の状態をチェックする原教授。実験に魚を使うケースもある  水槽の状態をチェックする原教授。実験に魚を使うケースもある  スライドガラス上の細胞を見る原教授  スライドガラス上の細胞を見る原教授

 アントシアニンの有効性を実証する研究の数は年々、増えてきている。人にどのようなメカニズムで働きかけるのかの解明が続いている。原教授は「動物実験にしろ、人間の臨床試験にしろ、しっかりとデータを採り、蓄積し、その結果を公表していくことが大切です」と強調する。(提供 わかさ生活)

(※)Ogawa K., Kuse Y., Tsuruma K., Kobayashi S., Shimazawa M., Hara H.

Protective effects of bilberry and lingonberry extracts against blue light-emitting diode light-induced retinal photoreceptor cell damage in vitro. BMC Complementary and Alternative Medicine, 14:120, 2014.

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