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【話の肖像画】脚本家・内館牧子(1)「終わった人」はあがかない

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【話の肖像画】
脚本家・内館牧子(1)「終わった人」はあがかない

 〈時代の空気をつかむドラマや小説を生み出してきた先駆者が世に問うたのは定年後の生き方だった。小説のタイトルは「終わった人」。来年6月には映画が公開される〉

 以前から定年後の男性をテーマに書きたかったんです。三菱重工業の社員として社内報を編集していたとき、定年を迎える社員にインタビューをして、コメントを掲載していました。「これからどう過ごしますか」と聞くと、皆さん、「菊作りをする」「孫と遊ぶ」「妻と温泉に行く」なんて口をそろえるんです。私自身が会社を辞めたとき、「あのとき退職する皆さんが話していたことは違ったのではないか」と思い始めました。だって毎日、やることがないんです。趣味なんて、忙しいときに時間を捻出してやるからこそ楽しい。毎日趣味に生きることは、多くの人にとって難しいと思いますよ。

 そう思いながら、その年代ではまだ書けませんでした。私も還暦を過ぎ、クラス会に行くと男性陣は皆、「終わった人」になっていました。そして「行く所がない」と言うんです。「これが書けるのは今だな」と思いました。私自身の年代によって、書くものも変わってきたんですね。60代になって分かることもあります。

 〈「定年って生前葬だな」で始まる小説は元銀行マンが主人公。あり余る時間に戸惑い、忙しい妻には相手にされず、かつての取引先の呼ばれもしないパーティーに顔を出す〉

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