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【白洲信哉 旅と美】神と仏の触媒 権現信仰のひめ(十一面観音坐像)

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【白洲信哉 旅と美】
神と仏の触媒 権現信仰のひめ(十一面観音坐像)

日吉神社の十一面観音坐像。制作は平安時代の11、12世紀頃で、木造彩色。像高22.6センチ。国重要文化財 日吉神社の十一面観音坐像。制作は平安時代の11、12世紀頃で、木造彩色。像高22.6センチ。国重要文化財

 福井、岐阜、石川3県にまたがる白山は、富士山、立山と並ぶ日本三名山の一つで、白い雪に光を浴び輝く姿に、古来あがめられ、霊山信仰の聖地として仰がれてきた。

 本年は、越前の僧、泰澄大師が初めて白山に登拝し、全身光を放って、妙相端厳たる十一面観音が現れてから1300年。僕は区切りの年に、長年の念願を果たしてきたのだが、かねて縁のある岐阜県神戸町にある日吉神社の、鎮座1200年の祭りにも参列することになった。

 白洲正子生誕百年展において、当社重文の十一面観音坐像の出陳を願ってからはや7年。「頭上に十一面は頂いているものの、これはあきらかに神像である。そういって悪ければ、日本の神と仏が合体した、その瞬間の姿をとらえたといえようか」と白洲が記した観音像の、うぶでかれんなお姿は全く変わることがなかった。生活に不可欠な“命の水”を供給してくれる神々しい白山の本地仏、この小さな十一面観音坐像は、神と仏の触媒として、泰澄のような修験者たちに導かれた権現信仰の比●なのだ。

【プロフィル】白洲信哉

 しらす・しんや 文筆家。昭和40年生まれ、東京都出身。日本文化の普及に努め、展覧会など文化イベントの制作にも携わる。平成25年から骨董(こっとう)・古美術の月刊誌『目の眼』編集長。

●=口へんに羊

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