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【話の肖像画】元通産事務次官・小長啓一(5) 湾岸危機で迫られた難しい判断

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【話の肖像画】
元通産事務次官・小長啓一(5) 湾岸危機で迫られた難しい判断

小長啓一氏(納冨康撮影) 小長啓一氏(納冨康撮影)

 多国籍軍とイラク軍の戦闘が始まったのは翌3年1月。従業員は砲撃前にシェルターに逃げ込み、けが人は出ませんでした。実は前日の夜、石油省高官から鉱業所長に「何か事が起こるかもしれない」とにおわせる電話があり、迅速に対応できたのです。

 〈3年3月、アラビア石油の社長に就いた。在任中、カフジ油田の原油採掘権益のうちサウジ政府から得ていた権益の延長問題の対応に追われた〉

 当時は油価が低迷し、石油は戦略商品ではなく一般商品というのが世界の常識でした。そこで日本政府が交渉の表舞台に立つのは難しく、私どもがサウジ政府と交渉しました。相手は権益延長を認める見返りに、大規模な投資を要求してきました。経団連がサウジ向けの投資を会員企業に呼びかけてくれましたが、当時はサウジへの関心が今ほど高くなかった。繊維工場と漁業養殖場は進出が決まりましたが、大型案件はなく、サウジ政府は納得しませんでした。最後に鉱山鉄道の敷設を求めてきました。しかし自前で調査したところ採算が取れない。要求には応えられず、残念ながら12年にサウジ側の権益を失いました。50人以上の社員をリストラせざるを得ず、申し訳なかったと思っています。

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