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【ときを紡ぐ絵本-親子とともに】『おはなをあげる』 優しさに包まれる

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【ときを紡ぐ絵本-親子とともに】
『おはなをあげる』 優しさに包まれる

『おはなをあげる』(ジョナルノ・ローソン作、シドニー・スミス絵) 『おはなをあげる』(ジョナルノ・ローソン作、シドニー・スミス絵)

 平成28年にポプラ社から刊行された『おはなをあげる』(ジョナルノ・ローソン作、シドニー・スミス絵)は、子供が見たり感じたりする世界には小さな喜びがあることを私たち大人に気付かせてくれる一冊です。

 お父さんと手をつないで帰る家までの道。灰色の雑踏の中でも、赤い服の女の子にはさまざまなものが見えます。忙しく携帯電話を手にするお父さんの傍らで、女の子は誰にも気づかれないような道端の花を見つけ、摘んでいきます。

 公園の道で、女の子は動かなくなった鳩(はと)に気付き、自分の手にある花をそっと手向けます。すると、それまで灰色だった世界が色鮮やかに変化します。誰かにお花をあげるたびに、それは誰からも感謝されず、気付かれずとも、女の子を取り巻く世界は色を取り戻し、柔らかな優しさに包まれていくのです。

 この絵本には文字がありません。“色”やその変化が、女の子の存在や女の子がかかわる世界を表しているといえるでしょう。

 何気ない日常の中で大人がほんの少しだけ心にゆとりを持ち、子供が見ている世界に注意を向けて共に「みる」(joint attention)とき、忙しさの中で大人が見失いがちな小さな喜びを子供たちから受け取ることがあります。

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