産経ニュース

「清原啓子」展 全身全霊で制作した幻想世界

ライフ ライフ

記事詳細

更新


「清原啓子」展 全身全霊で制作した幻想世界

「久生十蘭に捧ぐ」1982年 エッチング 「久生十蘭に捧ぐ」1982年 エッチング

 制作期間は学生時代を含め10年もなかった。清原が死去した翌年、才能を惜しんだ深沢の監修で、版画家の池田満寿夫らが執筆者に名を連ねた作品集が出版された。孤高で気高く、熱狂をも内に秘め、見る者を幻惑させる作品群は、いくつもの公立美術館に収蔵され、いまも評価を高めている。

 読書家だった清原は、三島由紀夫や夢野久作、ジョルジュ・バタイユやホルヘ・ルイス・ボルヘスらの作品を愛し、文学からインスピレーションを受けた。とりわけ現実と夢が混在した耽美的物語を書いた作家の久生十蘭(1902~57年)を敬愛。小説から触発された「魔都霧譚」など幻惑的な作品を創作した。清原の死後、彼女の作品が久生の文庫本のカバーに採用された。

 同美術館の川俣高人館長は「清原の作品は誰もが好むものではないかもしれないが、人を引きつける強力な磁場がある。全身全霊を制作にささげていた希代の銅版画家といえるでしょう」とたたえる。同美術館では平成26年に回顧展が開催されている。下絵から版画が完成するまですべて自分一人で行っていたという清原。展覧会では銅版画とともに、下絵や原版も並べ制作過程を見せている。

 「銅版画家 清原啓子」展は14日まで。月曜休。一般600円。(電)042・621・6777。(渋沢和彦)

このニュースの写真

  • 「清原啓子」展 全身全霊で制作した幻想世界

「ライフ」のランキング