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「清原啓子」展 全身全霊で制作した幻想世界

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「清原啓子」展 全身全霊で制作した幻想世界

「久生十蘭に捧ぐ」1982年 エッチング 「久生十蘭に捧ぐ」1982年 エッチング

 細密で神秘的な作品を制作し、31歳で早世した銅版画家、清原啓子(1955~87年)。没後30年を記念する展覧会が、東京の八王子市夢美術館で開かれている。

 清原が残した銅版画は30点しかなく、どれもが驚くほど緻密で繊細だ。たとえば「久生十蘭(ひさお・じゅうらん)に捧ぐ」。朽ちた建物と有機的な形の大きな植物などで構成されている。モノクロームの画面には、人の頭部や壊れた人形のようなものが横たわる。いくつもの球体が転がり、見開かれた目もある。ニードルと呼ばれる細い針のような道具で銅板に線描。執拗(しつよう)な細部へのこだわりは緊張感を生みだす。

 八王子市に生まれた清原は、多摩美術大学で銅版画を学んだ。当時、同大で指導していたのが銅版画の第一人者として活躍し、今年1月に92歳で亡くなった深沢幸雄だった。彼女の技術力や質の高さは深沢を驚かせたという。清原は昭和57年、日本版画協会展に「領土」「後日譚」といった幻想的な作品を出品し、日本版画協会賞を受賞。将来を期待した深沢の紹介で、翌年には東京・銀座の有力画廊で初個展が実現した。

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