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【話の肖像画】元通産事務次官・小長啓一(3) 就任3カ月で交渉決着の手腕

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【話の肖像画】
元通産事務次官・小長啓一(3) 就任3カ月で交渉決着の手腕

 〈日米繊維問題が片付くと、田中氏はいよいよ「日本列島改造論」に乗り出す〉

 ある日、大臣室に呼び出され、田中さんにこう頼まれました。「俺は1年生議員のときから国土開発に取り組んできた。通産相になって半年、工業の面からも国土開発を勉強できた。その視点も入れて一冊の本にまとめたい。付き合ってくれるか」。私は「喜んで協力させていただきます」と即答です。

 出版社は日刊工業新聞社。問題は執筆を分担する記者を確保できるかどうかでしたが、十数人の精鋭が決まりました。問題はもう一つありました。列島改造論の内容は、建設省や運輸省、経済企画庁(いずれも当時)などの所管分野にもまたがる。霞が関は縦割り社会ですから「田中通産相」の本に協力してくれるか不安だったんです。杞憂(きゆう)でした。各省庁の官房長に電話でお願いすると「角さんの本を書くのか。よし、全面協力だ」と、最新のデータを提供してくれました。皆さん、「大臣」ではなく「角さん」と呼ぶんですよ。田中さんが若手時代から33本もの議員立法を作ってきた過程で付き合ってきた若手官僚たちが、その頃には各省の幹部クラスになっていたんです。通産官僚4、5人と記者でチームを作り、46年12月に作業を始めました。

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