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岸惠子さん 小説集「愛のかたち」を刊行 「命が熟れ落ちるまで書くことに打ち込みたい」

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岸惠子さん 小説集「愛のかたち」を刊行 「命が熟れ落ちるまで書くことに打ち込みたい」

新刊を手に「今回は一気に書きました」と語る岸惠子さん (酒巻俊介撮影) 新刊を手に「今回は一気に書きました」と語る岸惠子さん (酒巻俊介撮影)

 表題作は、化粧品会社のパリ駐在員、渚詩子(うたこ)と、見た目は日本人の弁護士、ダニエル・ブキャナンとの恋愛模様を軸にしたさまざまな愛の形が、謎解きの妙を伴ってつづられる。一方、もう1編の「南の島から来た男」は、新聞社のパリ支社で働く藤堂華子と、モーリシャス出身の青年、ドムとの運命を、パレスチナ問題や東日本大震災など時代性に絡めて織り上げる。

 小説は、平成15年の上下巻に及ぶ大河小説『風が見ていた』、高齢者の恋愛を描いて話題を呼んだ25年の『わりなき恋』に続くが、もともと女優になる前は作家志望だった。高校生のころ、原稿用紙60枚の作品を川端康成に見てもらおうと、つてを頼って定宿を訪ねたものの、結局は見せることができずにそのまま持ち帰ったこともある。

 「後にパリで結婚したとき、川端先生がお仲人をしてくださって、あの小説、読ませてくださいとおっしゃった。捨てましたと言ったんですが、今もまだ持っているんですよ。誰にも見せていませんが…」と打ち明ける岸さんは、一方でジャン・コクトーが監督した「美女と野獣」を見て映画の魔力にもひかれる。撮影風景を見てみたいという好奇心で現場を訪ねたときにスカウトされ、映画女優の道に進んだが、そのかたわらエッセーやルポルタージュなど文章の世界でも積極的に表現し続けてきた。

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