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【父の教え】落語家・桂春蝶さん 登場人物を「生きて」話す

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【父の教え】
落語家・桂春蝶さん 登場人物を「生きて」話す

「どこかで父に見ていてほしいと思いながら命の落語をやっています」と話す三代目桂春蝶さん=大阪市北区(山田哲司撮影) 「どこかで父に見ていてほしいと思いながら命の落語をやっています」と話す三代目桂春蝶さん=大阪市北区(山田哲司撮影)

 細身の体から繰り出される、センスにあふれたしなやかな落語、ラジオでディスクジョッキーをすれば、世相を巧みに斬る…。一方で破天荒な危ういイメージもうかがわせながら、関西で大きな人気を集めていた二代目桂春蝶さんが亡くなったのは平成5年。51歳の若さだった。

 「家族を愛し、落語を愛し、人を愛し、舞台を愛したまじめな父でした。でも当時、マスコミやメディアが求めていたイメージは違う。精神的につらかったんだと思います。無理をされていたんだと」

 三代目桂春蝶を襲名したのは、父の死から16年後。家族としてともに暮らし、その後、同じ落語家の道を歩んでいるから、苦しみが余計によく分かる。

 「落語をもっともっと追求したい。でも時間がない。落語に邁進(まいしん)している方々に抜かれていくような気になる。体も強くないし、不安を忘れさせてくれる、酒に逃げてしまった」

 賞には無縁だったが、技術の高さから“無冠の帝王”とも呼ばれていた先代の春蝶さん。「噺(はなし)を自分のものにしてしまう。自分の言い回し、間、リズムで登場人物を『生きる』んです。『演じる』や『なりきる』という表現をしているうちはまだ違う」-。中学生のころ、先代春蝶さんの「寄合酒」という落語を聞きにいったら、お金をかせぐことの大切さを、噺の登場人物から教えられているような気持ちになった。

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