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進む文学のボーダーレス化…イシグロ氏のノーベル賞は「今の世界文学の流れを反映した新しいもの」 東大教授・沼野充義さんが講演

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進む文学のボーダーレス化…イシグロ氏のノーベル賞は「今の世界文学の流れを反映した新しいもの」 東大教授・沼野充義さんが講演

ノーベル文学賞に選ばれたカズオ・イシグロ氏について講演する東京大学大学院教授、沼野充義さん ノーベル文学賞に選ばれたカズオ・イシグロ氏について講演する東京大学大学院教授、沼野充義さん

 今年のノーベル文学賞に選ばれた英作家、カズオ・イシグロ氏(63)の著作が注目される中、現代の世界文学に詳しい東京大学教授の沼野充義さん(63)が18日、津田塾大学千駄ケ谷キャンパス(東京都渋谷区)で「カズオ・イシグロとノーベル賞と世界文学」と題して講演した。

 日本人の両親のもと長崎で生まれたイシグロ氏は5歳で渡英し、英語で創作を続けてきた。長編は7作と多くはない。だがSFやミステリー、ファンタジーの趣向も用いた豊饒(ほうじょう)な物語は多くの読者を得ており、沼野さんは「時間をかけて構想を温めて常に新たなものにチャレンジする。今のコマーシャリズムの中で、理想的なペースを守っている寡作ぶり」と評した。

 第2作『浮世の画家』(1986年)までは日本を舞台にしたが、出世作となった第3作『日の名残り』(89年)で描いたのは伝統的な英国。沼野さんはこの2作に触れ「『日の名残り』は英国の緻密で丁寧な描写が絶賛されたが、それも彼が子供のころから見知っている世界ではない。イシグロにとってはイギリスの執事も日本の画家の世界も、等距離にある想像上の世界。日本人だともイギリス人だとも言い切れない部分がある」と語った。

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