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【書評】詩人・中原かおりが読む『友情 平尾誠二と山中伸弥「最後の一年」』 闘病で薄れる意識の中、最後の最後に出た言葉は…

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【書評】
詩人・中原かおりが読む『友情 平尾誠二と山中伸弥「最後の一年」』 闘病で薄れる意識の中、最後の最後に出た言葉は…

『友情 平尾誠二と山中伸弥「最後の一年」』山中伸弥、平尾誠二・惠子著(講談社・1300円+税) 『友情 平尾誠二と山中伸弥「最後の一年」』山中伸弥、平尾誠二・惠子著(講談社・1300円+税)

 平尾誠二氏の最後の試合、最後の戦いはがんとの闘病であった。それを徹頭徹尾、共に闘い抜いたのが山中伸弥氏。主治医としてではない、無二の親友としてだ。

 ラグビー界のスーパーヒーロー、現役引退後はW杯日本代表監督も務めた平尾氏、ノーベル生理学・医学賞受賞のiPS細胞研究者の山中氏。それぞれの世界で他の追随を許さない人物だ。

 その2人が雑誌の対談で出会ったのが7年前、40代半ばの時である。実は大学時代ラガーメンでもあった山中氏と平尾氏はすぐに意気投合し、以後酒を酌み交わし、考えを交わし、家族ぐるみでも交流を深めていく。〈四十代半ばを過ぎてから男同士の友情を育むというのは、滅多(めった)にないことです。なんの利害関係もなく…〉。2人のエピソードには初々しい少年の顔が何度も見える。

 本書は平尾氏の奥様と山中氏へのインタビュー、両氏の出会いとなった対談から構成されている。

 突然余命3カ月と宣告された友が闘病する1年間に「自分の全力をかけて治したい」と治療法の情報収集や医学的判断など手を尽くせるだけ尽くした山中氏。「山中先生を信じるって決めたんや」と言い続けた平尾氏。理不尽な暗闇の淵(ふち)に立った男たちの覚悟と、互いへの揺るぎない信頼を目の当たりにする。

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