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【書評倶楽部】落語家・桂文珍『繊細な真実』 頭の体操にもなる一級品

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落語家・桂文珍『繊細な真実』 頭の体操にもなる一級品

落語家の桂文珍師匠 落語家の桂文珍師匠

 年齢を重ねると何となく寂しさや孤独感に加え、体力や知力の衰えを感じるもので、新聞の訃報記事でも故人の年齢についつい見入ってしまう日々。それだけに、高齢になっても実にエネルギッシュに作品を書き続ける作家の作品を読んで、ついうれしくなって紹介することにした。

 スパイ小説の巨匠と呼ばれるジョン・ル・カレだ。東西の冷戦時代が終わり、スパイ小説は終わったなどという意見もあったが、新しいテーマを見つけ、作品に仕上げている。今回の「繊細な真実」も4年前、82歳での出版だが、これまで描いてこなかった、上昇志向の強いエリートたちの陰謀、国家システムの中で蠢(うごめ)く人々の姿を、外交官を主役に描き出している。

 物語は、英領ジブラルタルで行われたテロリスト捕獲作戦で始まる。大臣じきじきの命令でかり出された初老の外交官は現地での強引な作戦に疑問を感じながら、成功裏に終わったと告げられる。

 3年後、引退して妻の故郷に住んでいる元外交官が、その土地のフェスティバル会場でジブラルタルの作戦の指揮官と再会。その様子に、ますます疑いを深め、当時の大臣秘書官と連絡をとる。実は秘書官も上司である大臣の行動を不審に思い、ひそかに監視を続けていた。

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