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【くらしナビ】納豆菌パワー、感染症を防ぐ

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納豆菌パワー、感染症を防ぐ

 健康志向の高まりや和食ブームを受け、伝統的な発酵食品である納豆の需要が伸びている。今年の消費額は昨年をさらに上回る勢いで、2年連続で過去最高を更新する見通し。いまや大人から子供まで“納豆ファン”が広がってきた。納豆に含まれる納豆菌は、さまざまな感染症予防に役立つという研究成果もこのほど発表され、消費拡大の追い風になりそうだ。(財川典男)

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 ■給食に取り入れ

 「なっとうだいすき!」

 下町の保育園で給食時に子供たちの歓声が響いた。すでに味付けされ、かき混ぜられたカップ入りの納豆が登場。「もっとまぜまぜしていい?」と保育士に聞く園児の姿もあった。

 ここは東かなまち保育園(東京都葛飾区)。冬場の感染症予防に、こうした納豆メニューを給食に取り入れている。園長の山田康司さんは「もともと月に1回は納豆汁や納豆揚げなど納豆料理を出してきた。納豆菌がインフルエンザ予防などに役立つと聞き、納豆そのものもメニューに入れた」と話す。

 同園では感染症予防に加え、食育にも注力。山田さんは「日本の食文化である納豆を出すのは食育の一環でもある。もともと栄養がある食品。さらに感染症予防に役立つならいいことずくめです」と語る。

 ■ウイルス量3分の1

 同園が給食で出す納豆には、マウス実験でインフルエンザ予防に役立つことが判明した「S-903」と呼ばれる納豆菌が入っている。この実験を行った中部大学客員教授の林京子さん(薬学博士)は、マウスを使ったノロウイルス感染実験を新たに実施し、「S-903」にノロウイルスの予防効果が期待できることも確認したという。

 林さんによると、マウスをウイルスに感染させる前の3日間と感染後7日間の計10日間、3グループに分けて「S-903入りの水」「S-903使用の納豆」「何も入っていない水」をそれぞれ投与。感染後14日間にわたり糞便(ふんべん)中のウイルス量を測定した。その結果、「S-903入りの水」と「S-903使用の納豆」の両グループは、「何も入っていない水」のグループに比べて、いずれもウイルス量が3分の1程度に抑えられた。

 また、大人の風邪の原因ウイルスで半分程度を占めるとされるライノウイルスの感染実験も同様に実施。マウスの血液中の抗体(ウイルスを退治するタンパク質)の量を調べたところ、「S-903入りの水」と「S-903使用の納豆」のグループに顕著な増加がみられた。林さんは「インフルエンザ対策の基本は予防接種だが、風邪だとそうはいかない。風邪予防には納豆菌が役立ちそう」と期待する。

 一連の実験は納豆メーカーのタカノフーズ(茨城県小美玉市)が協力。2200種以上の納豆菌を保有する同社の研究で「S-903」は発見された。研究担当の小林知世さんは「すでにインフルエンザ予防効果が報告されている乳酸菌とS-903を一緒に摂取すると、予防効果が高まることもマウス実験で分かった」と話す。

 林さんは「今後は公衆衛生学関係者の協力を得て、S-903を使用した大規模な疫学調査も検討したい」としている。

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