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宮城谷昌光さん長編「呉漢」 小石を黄金に変えた大志

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宮城谷昌光さん長編「呉漢」 小石を黄金に変えた大志

 作家の宮城谷昌光さん(72)が新しい長編『呉漢(ごかん)』(中央公論新社)を出した。貧しい家に生まれ、古代中国の後漢王朝(25~220年)を開いた光武帝・劉秀(りゅうしゅう)を支える武将にまでのぼりつめた呉漢の生涯を描く。歴史書にも記述が少ないという知将の歩みを、自らの雌伏の時代も投影しながら臨場感たっぷりに紡いでいる。(海老沢類)

 三国志の時代から遡(さかのぼ)ること約200年の中国。王莽(おうもう)の圧政への不満から反乱が相次ぎ、各地に武将が乱立する群雄割拠の様相を呈していた。貧しい家の出で、農場で土を耕しながら一生を過ごすと思っていた呉漢は、運命の変転で、後に光武帝となる劉秀とめぐりあい、知将として信頼を得ていく。14年にも及んだ全土統一への苛烈な戦いと平定への歩みがつづられる。

◆自然の理を知る

 宮城谷さんは平成23年刊の『草原の風』で、後漢の成立を劉秀の視点から描いている。ただ脱稿後も「書き尽くした」感じはなかったという。「長く難攻不落だった(今の四川省とほぼ同じ区域にあたる)益州(えきしゅう)への攻めを光武帝はうまくやる。その仕事をしたのが呉漢という武人。難しい仕事をやってのける人間だから面白くないはずはない。描こう、と」

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