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【日本再発見 たびを楽しむ】来年をより健やかで豊かに~おとなの七五三(金刀比羅宮)

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【日本再発見 たびを楽しむ】
来年をより健やかで豊かに~おとなの七五三(金刀比羅宮)

「大人の七五三」で訪れる東京・虎ノ門の金刀比羅宮 「大人の七五三」で訪れる東京・虎ノ門の金刀比羅宮

 10月10日を縁日とする神社がある。香川県・讃岐の国の金刀比羅宮だ。かつては山岳信仰の神が祀(まつ)られていたが、今では海の神、山の神を信仰の対象とした海山の恩恵を授けてくれる神社だ。10月10日は年に1度、大神様の「お下がり」の日とされ、最も厳粛な祭典、例大祭が催される。

 人が十月十日を経て生まれるように、年神様も十月十日を経て、この世へ生まれてくるとされた信仰があった。旧暦10月10日は収穫を終えた頃で、一年で最も食べ物が豊富な時期。豊かな食物は最高の財で、財をもたらす海山の神々へ感謝をささげる。そもそも民間の祭りは月の信仰からなるものも多く、8月15日の中秋、9月13日の後の月、10月10日の十日夜(とおかんや)と3回あった。

 ちょうどいま頃。神無月(旧暦10月)は、日本全国の神々が出雲や神の世界に行くことになっている。これは仕事を終えた神々をもてなし、山や海の向こうに送るという祭り「十日夜」が元になったのではないか。新暦では11月28日あたりとなるが、来年をより健やかで豊かに過ごしたいという方は、近くの金刀比羅宮へ行ってみてはいかがだろうか。

 昨年、東京・虎ノ門の「金刀比羅宮」から「山王日枝神社」(同・永田町)まで伝統着の着物で練り歩く「おとなの七五三~童還りのとおとたらり」を開催した。「七五三」は子供の成長を願う行事だが、本来は十五夜の月に先祖を思い、自覚を促す通過儀礼だった。そのため十日夜から満月まで、古きよきしきたりとしての収穫祭や先祖への感謝祭、「亥の子祭」「酉の市」など祭りのエッセンスも盛り込んだ。

 日本では古いものや大切なもの、価値あるものに「付喪神(つくもがみ)」がついていると考えられてきた。成人式の振り袖や古い着物をたんすから出して、「きれいね」と褒めただけで付喪神は喜び、力をくれるといわれる。「おとなの七五三」は距離的には小さな旅だが、心の大きな時間を取り戻す旅になるといえるはずだ。(井戸理恵子)

 ▽第2回「おとなの七五三」(産経新聞社協力)を12月3日に開催。雅楽や食事も楽しめ、着物もレンタル可。問い合わせは、る・ひまわり(電)03・6277・6622(平日午前11時~午後6時)。

 井戸理恵子(いど・りえこ) 昭和39年、北海道北見市生まれ。ゆきすきのくに合同会社代表、民俗情報工学研究家。国学院大学卒業後、広告出版社などを経て現職に就く。多摩美術大学非常勤講師を務めながら、日本各地の伝統技術や信仰などの本質を読み解き現代に生かす活動に従事。ニッポン放送「魔法のラジオ」の監修や、永平寺の機関誌「傘松」で連載中。

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