産経ニュース

長編「シュレーディンガーの猫を追って」 仏作家・フィリップ・フォレストさん 喪失の痛みと生きる

ライフ ライフ

記事詳細

更新


長編「シュレーディンガーの猫を追って」 仏作家・フィリップ・フォレストさん 喪失の痛みと生きる

来日機会は多い。「近年フランスでは日本人作家の作品が多く翻訳されるようになり、新しい発見がもたらされている」と話すフィリップ・フォレストさん=東京都港区 来日機会は多い。「近年フランスでは日本人作家の作品が多く翻訳されるようになり、新しい発見がもたらされている」と話すフィリップ・フォレストさん=東京都港区

◆震災を経て

 大学で比較文学を講じ、日本文学にも親しむ。大江健三郎さんや津島佑子さんらの「新しい『私語り』」に触れた衝撃は、自らが小説を書くきっかけにもなった。

 平成25年に邦訳された評論集『夢、ゆきかひて』では、東日本大震災で肉親を亡くした岩手県陸前高田市出身の畠山直哉さんの写真集も論じた。「自然の力により世界がひっくり返される。われわれがつかの間の存在である、ということを深く考えさせられた」。写真のイメージも胸に、昨年の『洪水(未邦訳)』では洪水に見舞われたパリとおぼしき街を描いた。

 「伝統的なエッセーや批評の形式では表現できないことがある。この世界の意味、その分からなさを考えるために私は小説を書いているのです」

                  

【プロフィル】フィリップ・フォレスト

 Philippe Forest 1962年、フランス・パリ生まれ。ナント大学文学部教授。97年に長編小説『永遠の子ども』(フェミナ処女作賞)を発表。評論やエッセーも手がけ、2015年の評伝『アラゴン』でゴンクール賞(伝記部門)を受けた。ほかの邦訳作品に『さりながら』など。

「ライフ」のランキング