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【大学ナビ】針路を聞く 明治大学・土屋恵一郎学長 自由で主体的な学びを応援

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【大学ナビ】
針路を聞く 明治大学・土屋恵一郎学長 自由で主体的な学びを応援

 ■今後の柱に「社会人教育の強化」

 東京・神田駿河台など東京都と神奈川県に4つのキャンパスを有する明治大学は、明治14年に岸本辰雄ら若き法学者3人が創立した明治法律学校を起源とする。自由で主体的な学びを校風とし、10学部の総合大学となった現在も、有為な人材を輩出している。土屋恵一郎学長に取り組みなどを聞いた。(編集委員・高橋昌之)

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 --建学の精神は

 「『権利自由』と『独立自治』で、創立者にはフランスの啓蒙(けいもう)思想を日本に持ち込もうという意図があった。当時の日本は『服従の教育』だったが、そこから脱却して学生が自ら学ぶ教育に転換するということだ。自由で主体的な学びこそ大事で、創立者たちの思いに立ち戻りながら新しい形の教育を展開しようと考えている。本学の歴史をひもとくと、在野の精神、市民の立場で教育をしてきた。たとえば昭和初期に女子部を創設し、男性中心社会の中で女子のキャリア教育に門戸を開いた。弱者に支援の手を差し伸べてきたという面もある。それは現在、難民を受け入れて教育していることなどに引き継がれてきた」

 --グローバル化への対応は

 「グローバル人材とは英語力やコミュニケーション能力などに限らず、インテグリティ、つまり高潔さや誠実さを備えているかどうかが重要だ。それを培うには多様な価値観を持つ人々との出会いの契機をたくさん作り、自分がどうすれば信頼されるのかを知る経験を積むしかない。本学はASEAN(東南アジア諸国連合)諸国との関係が強く、タイのバンコクに大学として最大規模のASEANセンターを持っている。また、海外に200を超える協定校があり、学生たちがそれらと本学に二重に帰属できる態勢を作り上げている。グローバル人材の育成は大学の役割であり、中心になって進めていきたい」

 --男女共同参画にも積極的に取り組んでいる

 「本学の女子の学生比率は約35%と上昇している。女子が学びやすい環境整備に努めてきたことなどによるものだと思う。問題は女性教員の比率が小さいことで、30%まで引き上げたい。男女共同参画については担当の副学長も置くなどして大学全体で推進している。一方、障害を持った学生への支援も先駆的に進めてきた。さらにLGBT(性的少数者)など大学が対応すべき社会的課題は多い」

 --志願者が11年連続で10万人を超え、高い人気を誇っている

 「この10年間に国際日本学部と総合数理学部という2つの学部を作った。国際日本学部は女子を中心に人気があり、総合数理学部は教員の研究力が高く、1期生の就職も良かった。そのほか、施設面などでも新しいものを取り入れ常に変化していることが、受験生に評価されているのではないか。もうひとつは『就職の明治』という看板があり、就職をしっかり支援してくれるという信頼感があるのだと思う」

 --18歳人口が減る2018年問題への対応は

 「18歳人口だけではなく、社会人教育、すべての世代を対象にした教育を展開することこそ今後の大学の柱だととらえており、強化していきたい。健康など医療系の講座を増やすことや、女性のリカレント教育を広げることなどが考えられる。男性も女性も仕事の後に大学で学ぶというライフスタイルはさらに広がるのではないか」

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【プロフィル】土屋恵一郎

 つちや・けいいちろう 昭和21年生まれ。45年明治大学法学部卒業、52年同大学院法学研究科博士課程単位修得退学。53年同法学部助手、55年同講師、60年同助教授、平成5年同教授。同法学部長、学校法人明治大学教務担当常勤理事などを経て、28年から現職。専門は法哲学。能楽・ダンス評論でも知られる。東京都出身。70歳。

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