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【書評】現実の方こそ荒唐無稽 『オペレーションZ』真山仁著

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【書評】
現実の方こそ荒唐無稽 『オペレーションZ』真山仁著

『オペレーションZ』真山仁著(新潮社・1800円+税) 『オペレーションZ』真山仁著(新潮社・1800円+税)

 日本の財政破綻を防ぐため国家予算を半減せよ。総理からの「オペレーションZ」指令を受けた若手の財務官僚グループが無理難題を実現するために苦闘する。Zはもう後がない、という意味である。年間100兆円の国家予算を50兆円に削減するという話だから、いかにも小説らしい荒唐無稽な設定だと思うかもしれない。だが、日本の財政に関しては、現実の方こそ荒唐無稽なのだ。

 永田町やメディアでは、消費税を8%から10%に上げることに延々と論争が続いた。消費税を10%からさらに上げるなどと政治家が言い出せば大ニュースだ。だが、日本の財政の将来推計をしてきた経済学者の間では、もう何年も前から消費税率は25%以上にすることが必要だといわれてきた。消費税を昔の5%から25%に上げると、税収は50兆円増える。これは財政収支の改善という意味では予算半減と同じだ。

 この小説の予算半減計画は、財政専門家がこれまで提唱してきたこととおおむね一致している。本書は、予算半減を実現するため、社会保障への国費支出と地方交付税交付金をゼロにしようとする財務官僚と、それに反発する厚生労働省の官僚や地方の首長、スクープを狙う新聞記者などが入り乱れる群像劇である。

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