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【文芸時評】ノーベル文学賞、そこまでして村上春樹を避けたいのか 11月号 早稲田大学教授・石原千秋

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【文芸時評】
ノーベル文学賞、そこまでして村上春樹を避けたいのか 11月号 早稲田大学教授・石原千秋

石原千秋さん 石原千秋さん

 新潮新人賞は、佐藤厚志「蛇沼」と石井遊佳「百年泥」。「蛇沼」は「八年前急に死んだセイコ」をめぐる地方の不良たちの暴力を書く。文章の力はあるが、それ以上でもそれ以下でもない。選考委員の大澤信亮(のぶあき)が「セイコを強姦して死に追いやったのはケイスケではない。君なのだ。それを世に問う罪の一端を私も担おう」と力みかえっていて笑った。「文壇版道徳の時間」だ。「百年泥」は、インドで日本語教師をする羽目になった女性の現地リポートのようなもの。それ以上でもそれ以下でもない。すばる文学賞は、山岡ミヤ「光点」。「わたし」の相方の「カムト」の輪郭がはっきりしないのが短所でもあり長所でもある。次も読もうと思わせる力はない。

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