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【臓器移植法20年】移植できず苦しむ1万人の患者に温かな光を

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【臓器移植法20年】
移植できず苦しむ1万人の患者に温かな光を

今冬に心臓移植を受け、秋から自力で下校できるようになった中学3年の男子生徒=10月初旬、大阪府内(天野健作撮影) 今冬に心臓移植を受け、秋から自力で下校できるようになった中学3年の男子生徒=10月初旬、大阪府内(天野健作撮影)

 感情の起伏が大きい方ではないが、不覚にも取材中に涙がこぼれてしまった。今年心臓移植手術を受けた14歳の中学生と両親の話があまりにも壮絶だったからだ。

 1歳で移植が必要な「拡張型心筋症」と診断され、何度も入退院を繰り返す。ドナー(提供者)を待ち続けた。心臓の負担を軽減するため水分が制限され、30ミリリットルのわずかな水で、大量の粉薬を飲む日々だった。

 家でゲームをするしか楽しみがなかった人生が一変。移植手術後、急速に快復し、今秋、14歳にして初めて外で走ることができた。どういう気持ちだったか聞くと、感動で言葉にならず、ただ「うおーっ」と心の中で叫んだという。

 父親(52)は毎日、天のドナーに感謝で拝む。母親(47)は息子の心臓に「仲良くしてね」と呼びかけているという。

 緊急事態に対応するため、これまで大阪の病院の近くに住むことを義務付けられていた。実家がある愛知で2人の子供を親類に預けるしかなかった。来春から愛知に帰れることになり、母親は「ようやく家族みんなで暮らせる」と涙を流した。

 臓器移植法施行から16日で20年を迎えた。移植ができず苦しむ患者は1万人以上いる。今回取材した家族以外にも温かい光が差し込んでほしいと願う。(天野健作)

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