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【話の肖像画】コメディアン・小松政夫(2) 日本全国「モーレツ社員」 セールスマン時代に学んだ気遣い

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【話の肖像画】
コメディアン・小松政夫(2) 日本全国「モーレツ社員」 セールスマン時代に学んだ気遣い

小松政夫さん(飯田英男撮影) 小松政夫さん(飯田英男撮影)

 ノルマの販売台数は、だんだん増えてゆく。ボクは口八丁、手八丁で売りまくりました。まだ運転免許を持っていない人に買わせちゃったり、その月のノルマ達成のために、もう寝ているお客さんを無理やり起こしてハンコを押させたり…。ひと月で22台も売ったことがあります。ノルマ、ノルマでめちゃくちゃに働いて、2年間1日も休みませんでした。このときの苦しさは今も夢に見るほどだけど、みんな明るく元気に頑張っていました。モーレツに働いて、ノルマが達成できたら「お祝いだ」って朝まで飲んだりね。日本中がそういう時代でした。

 〈セールスマン時代の経験は、後に意外なところで生かされる。個性的な上司や同僚、お客さんの様子が、「知らない、知らない」や「小松の親分」など人気ギャグやキャラクターのヒントになったほか、身についた気遣いや礼儀作法も役に立った〉

 ボクはよく「観察力がある」って言われるんですよ。いつでも人を見ていて、面白いことがあったらどんどん“拾ってくる”。クレージーキャッツの植木等さんの付き人兼運転手に600人の応募者の中から採用された理由も、セールスの仕事で礼儀や身なり、話しぶりがしっかりしていたことだったと聞きました。後に、少しずつ仕事をもらえるようになったときだって、ボクはギャラをクレージーの他の付き人たちにも均等に分けていたんです。これもセールスマン時代に学んだ気遣い。おかげで、周りからイジメられることはありませんでしたね。

 〈モーレツ時代に、人気者としてテレビや映画で売り出したのがクレージーキャッツ。おちゃらけぶりで周りをけむに巻いてしまう植木の「無責任男」や「スーダラ節」だった。役者になりたい夢を捨てきれない小松は、高給のセールスマンから薄給の付き人になったのだ〉(聞き手 喜多由浩)

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