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【書評】京都大学名誉教授・竹内洋が読む『コミンテルンの謀略と日本の敗戦』江崎道朗著 戦前、右翼左翼に取り込まれなかった真の保守本流の姿

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【書評】
京都大学名誉教授・竹内洋が読む『コミンテルンの謀略と日本の敗戦』江崎道朗著 戦前、右翼左翼に取り込まれなかった真の保守本流の姿

『コミンテルンの謀略と日本の敗戦』江崎道朗著 『コミンテルンの謀略と日本の敗戦』江崎道朗著

 これに対して右翼はどうだったか。貧困や格差に同情する者を社会主義者として言論弾圧に精出したことで、エリートを左翼全体主義に押しやることに力を貸してしまった。「敵」(左翼)と同じ(右翼)全体主義になってしまったのである。

 では、昭和戦前期に希望はないのか。「左翼全体主義」と「右翼全体主義」に反発したエリートはいた。伝統にさおさし、戦争を短期決戦で終わらせようとした小田村寅二郎(吉田松陰の姻戚)などの思想と運動である。著者はこの水脈を「保守自由主義」と命名し、これこそが保守本流とする。

 「保守自由主義」は、すでに教育社会学者、井上義和によって「日本型保守主義」と命名されているが、それを左翼全体主義・右翼全体主義の中で位置づけたところが著者の功績。錯綜(さくそう)する昭和史の森を明快に描ききった力作である。(PHP新書・980円+税)

 

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