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【日曜に書く】本当は女性にやさしいのか 論説委員・清湖口敏

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【日曜に書く】
本当は女性にやさしいのか 論説委員・清湖口敏

 苅萱の話を聴き、女人禁制は許せないと子供心に思ったのは確かだが、長じて信仰や伝統、文化といったものには合理的な理解の及ばない部分もあることを知った。科学的知見や現実的思考から物事を合理的に捉える風潮が強い現代でも女人禁制が残っているのは、合理性が全てではないことを物語る。

契機は「京都博」

 大相撲の土俵や歌舞伎の舞台における“女人禁制”は言うに及ばず、酒造りの蔵などでも長らく女性の立ち入りが嫌われてきた。女性芸能者が創始したにもかかわらず、風紀上の理由から女芸人への禁令が出るなどした歴史をもつ歌舞伎が現在、圧倒的多数の女性客に支えられている一事に徴しても、女人禁制を男女同権といった現代の価値観だけにあてはめて論じることはいかにも無意味であろう。

 信仰や伝統、文化は守られることに価値がある一方で、常に変化し続けているのも歴史に見る通りだ。明治5年の解禁布告は、同年開催の京都博覧会を訪れる欧米の観光客に対し、比叡登山を夫人だけ拒むのは難しいと考えたのが直接の契機だったらしい。夫婦で教会に通う西洋の習慣に配慮したもので、解禁はいわば政府の欧風化政策の一環だった。高野山では翌6年、女性が登るようになったが、強い反発が続き、完全な解禁は38年まで待つことになる(『比較家族史研究』第31号)。

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