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【書評】慶応大学教授・巽孝之が読む『アメリカン・ウォー(上下)』オマル・エル=アッカド著、黒原敏行訳 世界史動かした家族の物語

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【書評】
慶応大学教授・巽孝之が読む『アメリカン・ウォー(上下)』オマル・エル=アッカド著、黒原敏行訳 世界史動かした家族の物語

『アメリカン・ウォー(上下)』オマル・エル=アッカド著、黒原敏行訳(新潮文庫・各630円+税) 『アメリカン・ウォー(上下)』オマル・エル=アッカド著、黒原敏行訳(新潮文庫・各630円+税)

 戦争で父母や妹を失い兄も致命傷を負った少女サラット・チェスナットは復讐(ふくしゅう)に燃え、やがて北軍を率いるウェイランド将軍を暗殺し、テロリストとしての道を歩み出す。そして、収容所にて残虐な拷問を耐え抜き釈放された彼女は、真実を綴(つづ)った日記を最愛の甥(おい)ベンジャミンに託す。

 本書の語りは凝りに凝っているので、ひとつだけ、プロローグの「わたし」は歴史家となったこの甥、第一章の「わたし」は若き日の叔母自身だということは、ふまえておいたほうがよい。これは決してネタバレではない。圧倒的なクライマックスを経て読み終えるやいなや、あなたはこの物語を再び冒頭から読み直したくなるだろう。傑作。(新潮文庫・各630円+税)

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