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【書評】文芸評論家・縄田一男が読む『真夏の雷管』佐々木譲著 ページを繰るのももどかしい快感

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【書評】
文芸評論家・縄田一男が読む『真夏の雷管』佐々木譲著 ページを繰るのももどかしい快感

『真夏の雷管』佐々木譲著 『真夏の雷管』佐々木譲著

 それとは逆に犯人の暗い情念は、次第次第に行間からにじみ出てきて、目に見えぬ像が読者の中で結ばれてゆく。これはかなりの高等テクニックだ。

 犯人の足取りを追う佐伯らは、標的が“北要採石鉱業”に就職しながら、1週間足らずで馘首(くび)になり、そこから雷管を盗んでいったことをつきとめる。

 もうこうなると、爆弾が作られることは決定的となり、一同は戦慄する。

 そして犯人が爆破の実験に成功したと知るや、緊張はクライマックスへ-。

 普通なら爆発は阻止されるだろうと思っていても、ページを繰るのももどかしくなるほどの快感がたまらない。(角川春樹事務所・1600円+税)

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