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【モンテーニュとの対話 「随想録」を読みながら〈8〉】不義密通は人間の業?

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【モンテーニュとの対話 「随想録」を読みながら〈8〉】
不義密通は人間の業?

「週刊文春」の不倫報道を受けて会見する女優の斉藤由貴さん=8月3日、東京・有楽町の東宝本社(戸加里真司撮影) 「週刊文春」の不倫報道を受けて会見する女優の斉藤由貴さん=8月3日、東京・有楽町の東宝本社(戸加里真司撮影)

 それから70年。いまでは有名人(政治家や芸能人といった人気を生業とする人々)の不義密通は、刑法に抵触しないにもかかわらず、たれ込みを受けたメディアの執拗(しつよう)な取材によって公にされ、当事者は活字や映像によって「市中引き回し」の辱めを受けるようになった。それはローマ時代の「パンとサーカス」のサーカスのように、国民的娯楽になった感がある。

 ここで持論を言えば、エネルギーの多寡は性欲の多寡に比例すると私は考えている。ほとばしる性欲なくして、政界や芸能界を生き延び、大きな仕事をすることなどできないと思うのである。もちろんその前提に政治家であれば確たる国家観と知性、芸能人なら個性と芸が必要なのは言うまでもない。それがない性欲だけの政治家や芸能人がいるのも事実だが、いまメディアがやっていることは、彼らに小市民のルールを押しつけ、角を矯めて牛を殺すことではないだろうか。行儀のよいだけの政治家や芸能人に突き抜けた仕事など期待できない。同時に何の罪もない配偶者や子供も巻き込んでしまう。何と罪作りな。ほっといてやれ。

結婚は自分のためではない

 こんな話がモンテーニュと何の関係があるのか、とまじめな読者は思われていることだろう。ところが大いにあるのである。

 家柄もよく教養もあり、背こそ低かったものの容貌もそれなりだったモンテーニュは、かなり女性にもてて奔放な性生活を送った。本人がそう書いているのである。若い頃にたっぷりとアバンチュールを楽しんだ彼は、33歳のときに22歳のフランソワーズと結婚する。彼女は名家の息女で莫大(ばくだい)な持参金とともに彼のもとにやってきた。

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