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【モンテーニュとの対話 「随想録」を読みながら〈8〉】不義密通は人間の業?

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【モンテーニュとの対話 「随想録」を読みながら〈8〉】
不義密通は人間の業?

「週刊文春」の不倫報道を受けて会見する女優の斉藤由貴さん=8月3日、東京・有楽町の東宝本社(戸加里真司撮影) 「週刊文春」の不倫報道を受けて会見する女優の斉藤由貴さん=8月3日、東京・有楽町の東宝本社(戸加里真司撮影)

 ただ、体面を重視する武士や商人は、妻の不義密通を表沙汰にすることをはばかり、間男から示談金(相場は7両2分)を取ってカタを付けることが多かったらしい。江戸時代も後期になると、訴え出ずに示談で済ませるよう、奉行所みずから指導するようになったという。幕府がさじを投げるほど不義密通が横行していたのだろう。考えてみれば、身分と家格を基準に本人の意思とは無関係に結婚が決められていたわけだから、不義密通はどうしたって起こる。誰だって好いた異性と体を重ねたい。

 とはいえ、「御定書百箇条」には、妻を寝取られた夫が妻と間男を殺害してもお咎(とが)めなしとあるので、不義密通はそれこそ命懸けの行為だった。だからこそ余計に激しく燃え上がるのだろう。寛政の改革で知られる松平定信の腹心であった水野為長は、徒目付(かちめつけ)ら隠密とともに江戸市中の噂や世評などを収集して定信に報告した。その記録である『よしの冊子(ぞうし)』には、寝取られ夫による殺害の事例がいくつか紹介されている。

メディアによる市中引き回し

 時は幕末から明治へと流れ、不義密通は、旧刑法では姦通罪となり、夫の提訴があれば、両者とも6カ月以上2年以下の重禁錮に処せられることとなった(明治40年に2年以下の懲役となる)。また、旧民法は姦通によって離婚、刑の宣告を受けた女が姦通の相手と婚姻することはできないと定めていた。つまり「やり得」を防いでいた。

 敗戦後、男女平等を理念とする新憲法が制定され、刑事罰としての姦通罪はついに廃止される。さらに婚姻について憲法第24条はこううたう。

 《婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない》

 めでたし、めでたし!?

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