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【話の肖像画】デザイナー・皆川明(5) 心から愛せる服を作りたい、100年超えて思いつなぎたい

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【話の肖像画】
デザイナー・皆川明(5) 心から愛せる服を作りたい、100年超えて思いつなぎたい

皆川明さん(伴龍二撮影) 皆川明さん(伴龍二撮影)

 〈イタリアの陶磁器メーカー、リチャード ジノリ社で外部デザイナーに起用され、自らデザインした同社の正規コレクションの食器が8月から順次、世界で販売されている〉

 私はジノリのアートディレクターを務めた建築家でデザイナーのジオ・ポンティ(1891~1979年)を心から尊敬し、ことある度に彼のことを思い起こして、もの作りをしてきました。単に美しいものを生み出すということにとどまらず、本当の詩人だと感嘆させられるのです。ユーモアもあり、彼が持っている人間の幅の広さがデザインの端々に感じられます。

 そんな偉大な存在がコレクションを作ったジノリ社は、280年を超える歴史を持ち、若い職人は熟練の職人に強い尊敬の念を抱きながらフレンドリーに会話をして、彼らの人間関係も含めた伝統の精神と技術が継承されていました。

 世の陶磁器メーカーは安い製造コストへとシフトしています。ジノリ社は一度、破産を経験していますが今は再建がなされ、広い敷地内にウサギが遊ぶフィレンツェ郊外の工房で仕事を続けられることに喜びと誇りを抱いています。

 私はジノリの皿が描く外縁の美しい線に注目し、見つめていると、そこに鳩(はと)が向き合う姿が浮かんできました。鳩は平和の象徴です。対立する今の世の中で、融和という気持ちはとても大切だと思い、それは国同士、地域同士ではなく、もっともっと小さい食卓の上でこそ生まれ、育まれやすいと考えました。鳩以外にも、知恵や平和の花言葉を持つオリーブをあしらったものと、新たな命や可能性を感じさせる新芽をモチーフにしたものも作りました。

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