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【ときを紡ぐ絵本 親子とともに】『蚕が教えてくれたこと』

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【ときを紡ぐ絵本 親子とともに】
『蚕が教えてくれたこと』

cYuriko Yamawaki 1998, 2001, 2011 cYuriko Yamawaki 1998, 2001, 2011

 「さわさわ…」と音をたて、桑の葉を一心に食べて成長する蚕の姿を見て、お母さんたちも子供たちと一緒に「冷たいねぇ」「真っ白だね」と手に取るようになりました。そして繭(まゆ)を作り始める姿を、不思議さと感動とともに熱心に見入ったのです。

 繭を煮て糸を取り出す日には、手伝いを申し出てくれました。煮立った鍋の中の繭に、とがった割りばしをツンツンと根気よく当てていくと、糸口からすーっと糸が出てきます。その様子に子供以上に驚くお母さん。「糸口を探るという言葉の意味が初めて分かった気がする」と話す人もいました。

 また、一人が「蚕ってただ無心に食べて、繭になって絹糸を取られ…何のために生きているのだろう」とつぶやくと、周りの親たちも「何だか切ないけど、いろいろな生き方があるよね」「精いっぱい生きることを教えられる」などと、自分自身の「生きる」に向き合いました。

 残りの繭は家に持ち帰り、親子で繭玉製作をしました。「あの子たち(蚕)が一生懸命作った繭だから、大切に子供と一生懸命作りました」。蚕への見方を変え、自分自身や子供との関係を作り替えていったお母さんたちの学びを実感することができました。(国立音楽大准教授・林浩子)

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