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見直される企業理念 「やさしさ」「感受性」前面に

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見直される企業理念 「やさしさ」「感受性」前面に

新しい経営理念・企業ビジョンの浸透のため、営業職員らと議論する明治安田生命の根岸秋男社長(右から2人目)=東京都江東区 新しい経営理念・企業ビジョンの浸透のため、営業職員らと議論する明治安田生命の根岸秋男社長(右から2人目)=東京都江東区

 相次ぐ改訂

 「企業理念に何を盛り込むか」。これは、その企業の存在意義に関わってくる。明治安田生命は改訂に当たって、「やさしい」を入れるかどうかで議論が沸騰。抽象的、あいまい、など否定的意見もあったが、最終的に、根岸社長の強い思い入れと説得で入れることに決定した。

 近年になって「やさしさ」を理念に入れた企業は他にもある。昨年6月に改訂した大王製紙グループの経営理念は「世界中の人々へ やさしい未来をつむぐ」だ。「ハード面での豊かさの先にある心の豊かさを目指した」(同社広報)。

 また、今年2月に11年ぶりにグループ理念を刷新した化粧品のポーラ・オルビスホールディングスは、「感受性のスイッチを全開にする」を掲げた。“感受性”を理念に盛り込んだことで今年からは社員研修にアートを取り込むなど教育内容を刷新。行動指針も「美意識が高くチャーミングな人としてふるまう」など、具体的にした。

 ソフトで洗練されたイメージへの改訂が目立つ中、リニア中央新幹線の建設に向けて強い決意を表したのが、JR東海だ。今年4月に30年ぶりに経営理念を改訂した。これまでの「健全な経営による世の中への貢献」という民営化時の内容から、「日本の大動脈と社会基盤の発展に貢献する」に変えた。

 危機感の表れ

 企業理念の改訂が相次ぐ理由について、東京大産学協創推進連携本部イノベーション推進部長の各務茂夫教授は「とってつけたような企業理念ではなく、真剣に見直しを行うのは、それだけ今後の危機感が強いから」と指摘する。今年の株主総会では、トヨタやソニーなどのものづくり企業にも創業時の企業理念を強調したり、振り返ったりする動きが目立ったという。

 各務教授によると、良い企業理念とは「会社の存在意義を的確に示し、何をすれば成功しているといえるのかを定義し、組織を動かす求心力となるもの」。

 創業支援を行う「銀座セカンドライフ」の片桐実央社長は「従業員が増え、大きな会社になればなるほど、社員が同じ方向に向くための企業理念が大切になる」と話している。

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