産経ニュース

【書評】ノンフィクションライター・柳澤健が読む『広辞苑はなぜ生まれたか』新村恭著 誰もが知る辞典 編者の生涯にスポット 谷崎潤一郎、湯川秀樹らとも交流

ライフ ライフ

記事詳細

更新

【書評】
ノンフィクションライター・柳澤健が読む『広辞苑はなぜ生まれたか』新村恭著 誰もが知る辞典 編者の生涯にスポット 谷崎潤一郎、湯川秀樹らとも交流

『広辞苑はなぜ生まれたか』 『広辞苑はなぜ生まれたか』

 明治19年に中学校令が出されると、関口出は静岡県知事となっていた父の命令で、創設されたばかりの県立静岡中学校に入学、一転して英語中心の教育を受けた。

 維新後、徳川慶喜は静岡に蟄居(ちっきょ)していた。元幕臣の父はしばしば慶喜邸を訪れ、酒を飲みつつ碁を打った。

 父の死後、関口出は慶喜のそば仕えをしていた新村猛雄の養子となった。新村出の初恋の人は、慶喜の娘・徳川国子であったのだ。

 一高、東京帝大へと進み、卒業後、言語学研究のために欧州留学したのち京都帝大の教授となった新村出が、昭和初期に中高生、家庭向けの国語辞典の編纂(へんさん)を依頼され、戦後改訂されて「広辞苑」としてベストセラーになる。その経緯は、谷崎潤一郎、佐佐木信綱、湯川秀樹、高峰秀子ら綺羅(きら)星の如(ごと)き有名人との交流も含めて、一気呵成(かせい)に読ませる。(世界思想社・2300円+税)

「ライフ」のランキング