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【王室外交物語】わずかな無配慮が長い遺恨に 弔問外交のあやうさ

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【王室外交物語】
わずかな無配慮が長い遺恨に 弔問外交のあやうさ

ベルギーのファビオラ前王妃の国葬が営まれたブリュッセルのサンミシェル大聖堂=2014年12月12日(ロイター) ベルギーのファビオラ前王妃の国葬が営まれたブリュッセルのサンミシェル大聖堂=2014年12月12日(ロイター)

 こうした政治家たちの葬儀と並んで、君主として長年国を治めた人々の葬儀の際にも、同様の外交が繰り広げられるとともに、世界規模での王室同士のつながりの深さも改めてうかがわせるものである。わが国でも89年2月に執り行われた昭和天皇の「大喪の礼」の折には、164もの国や地域から元首や代表が弔問に訪れた。その筆頭格の弔問客として葬儀で最上席に着いたのがベルギーのボードワン国王であった。

 ところがそのボードワン国王の葬儀の際に、今日にまで尾を引くような「儀礼上の衝突」が生じてしまったのだ。国王の棺が大聖堂に到着すると、賓客たちはそれぞれの席に着いた。しかしそこには一足早くに到着していた英国のエリザベス女王夫妻が、大聖堂の最上席で待ちかまえていたのである。なぜ女王夫妻は王宮からの葬列に加わらなかったのか。

 実は英国王室は葬儀に駆けつける前に、葬列に加わりたいので最前列を用意しておいてほしいとベルギー王室に要請していたのだが、ベルギー側からの返事は「最前列は亡き国王がもっとも親しかった王族のための場所なので、次の列に入ってほしい」というものであった。ブリュッセル駐在の英国大使がベルギー政府にかけあってもダメであった。このため女王は葬列には加わらずに、直接、大聖堂へと向かったのである。

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