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生誕140年記念の「吉田博展」 空気さえ感じる繊細な色彩

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生誕140年記念の「吉田博展」 空気さえ感じる繊細な色彩

 風景画家や版画家として明治から昭和にかけて活躍した吉田博(1876~1950年)の生誕140年を記念する展覧会が、東京都新宿区の損保ジャパン日本興亜美術館で開かれている。

 作品の魅力は卓越したテクニックと感性によって生み出される色彩の繊細な美しさにある。とりわけ版画は秀逸。静かな日の出の一瞬をとらえた「瀬戸内海集 帆船 朝」は、光の濃淡が微妙に変化する。まばゆい光が空間を拡散していく様子は神秘的で、帆船の周囲に漂う空気さえも感じさせるようだ。

 福岡県で生まれた吉田は明治27年に上京し、洋画の塾で学んだ。油彩画や水彩画を手掛けていた吉田の才能を見抜いたのは来日していた米国の美術収集家、チャールズ・フリーアだった。彼の勧めで23歳のときに渡米。デトロイト美術館やボストン美術館で展覧会を開き、美術関係者から高く評価された。

 その後、何度も欧米に渡ったことで、粗悪な浮世絵が高値で売買されている実態を知り、新しい時代の木版画を自らの手で作ろうと決意。50歳を前にして本格的に木版画制作を開始し、精緻な写実表現で詩情あふれる作品を数多く残した。

 海景の連作「瀬戸内海集 光る海」は、陽光を受けた水面が優しく輝き、平和で穏やかな風情を醸し出す。英国の故ダイアナ妃が自ら購入し、執務室に掛けていたことで有名になった作品だ。

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